大野病院事件ご遺族の福島県への要望書

大野病院事件ご遺族の福島県への要望書(PDF)

 上記、要望内容の再発防止に加え、その他の民事上の責任についても、福島県はご遺族に対して、誠実に答えるよう求めます。

(※一部ネット上でご遺族を中傷する動きがあったようなので、当会の判断で、お名前の部分は伏せさせて頂きました。)

参考記事: 野病院医療事故:複数医など再発防止策 県病院局が回答

公正中立な医療事故の原因調査・再発防止制度の早期設立を、舛添要一厚生労働大臣に要請しました。

27日、 本会と医療事故市民オンブズマン・メディオ、医療情報の公開・開示を求める市民の会、医療の良心を守る市民の会、陣痛促進剤による被害を考える会、東京女子医大病院 患者家族連絡会の6団体は、大野病院事件のご遺族と共に舛添要一厚生労働大臣に面会し、公正中立な医療事故の原因調査・再発防止制度の早期設立を要請しました。

要望を受け取る舛添大臣

本会会長の宮脇は大臣に、
 「診療行為により予期しない結果が生じた場合、本来医療機関に原因調査と患者・遺族への説明責任があるにも関わらず、これらの責任が不十分な医療機関は、いまだに存在しています。
 公的な原因調査のシステムが存在しないために、納得いく説明を得られなかった患者・遺族は、やむおえず裁判に追い込まれています。
 ところが民事裁判においては、もともと医療機関にあった説明責任が、(通常)専門知識も証拠を集める能力もない患者・遺族に、立証責任という形で転嫁されるため、たとえ医療ミスによる被害であっても、立証できず涙をのむ患者・遺族が出ています。
 公的な原因調査のシステムが設立されることによって、正確な事実認定と、再発防止、医療過誤と判明した場合の適切な補償が、裁判に至る前に行われ、患者の納得
、およびその結果として、医療訴訟が減ることを切に期待しています。」
と伝えました。

舛添大臣からは、医療安全調査委員会設置法案を、秋の臨時国会で、議員立法の形で提出したいとの回答があり、「最初から100%(の制度)にならないかもしれないが、早期に動かして、医師や患者の意見を取り入れながら、少しでもいい制度にしていきたい。」と、制度実現へ強い意欲を示されました。

制度実現へ強い意欲を表す舛添大臣

福島県立大野病院 産婦人科事件についてのコメント

大野病院事件についてマスコミよりコメントを求められたため、下記のように答えました。


2008年8月20日
医療過誤原告の会
会長 宮脇正和

① 私は1983年に娘を医療過誤で亡くし、10年間の医療過誤裁判の後、病院側の全面謝罪で和解しました。 医療過誤原告の会の会員は、医療被害者として、これまで医療事故の際の説明や、医療過誤裁判の場で、カルテの改ざんや、証拠のねつ造・隠蔽、医療者の事実と全く異なるウソの証言に少なからず遭遇し、医療界に対する信頼を打ち砕かれてきました。

② 私たち被害者の願いは、「医療事故の事実から真摯に学び、事故の再発防止に役立てていただきたい」と言うことです。

③ 無罪判決ではあるが、裁判の過程で事故調査委員会報告以上に、事故の真相が明らかになった意義は大きい。

④ 判決結果は、医療界が今回の事件から謙虚に教訓を受け止めることになるか、心配している。

⑤ 国民が望んでいることは、安全なお産であり、リスクが予想されるお産については、事前の対策(複数の医師体制、対応設備のある病院に送る、輸血の準備をしておく)をしっかりとることが、大野病院事件の最大の教訓ではないでしょうか。
 今後、医療界がお産における安産対策を一層進めることが、遺族や国民の願いに応えることではないか。

⑥ 医療関係者に望むことは、事故の事実を真摯に公表してほしい。そのことが患者と医療機関の、率直な信頼関係を築くことになり、はじめて、医療事故の教訓を、安全対策に生かせることにつながる。

⑦ 現在、医療安全調査委員会等、死因究明を行う第三者機関の設置法案が議論されているが、医療者が自律的に事故を教訓化することにより、国民の信頼を広げるよう期待している。

会員よりお知らせ

会員より下記依頼がありましたので、ご案内します。

傍聴のお願い

横浜市立大学附属病院を被告とする医療事故訴訟
原告側代表 斉藤正人(090-1106-6950)

証人尋問のお知らせ

1.場所:
横浜地方裁判所 5階503号法廷
(使用法廷は変わることがありますので、当日1階の掲示板でご確認ください) 

2.日時:
9月3日(水)午後1時20分から(途中での出入りも可能)

3.内容:
1)原告の父斉藤正人への尋問 約60分
2)市大附属病院の医師への尋問 約120分
原告側弁護士 岡本秀雄 渡辺玲子 森田 明

平成8年6月17日、娘瑞季(原告)が、けいれん重積発作のため、横浜市大附属浦舟病院に入院し、同年7月26日に退院しました。しかし退院時には、重度の脳障害を負ってしまい、元気な時の面影はなくなってしまいました。いまも障害を抱えた生活が続いています。

病院側のつじつまの合わない説明にほんろうされ、平成18年にようやく提訴に至りました。このたび上記のとおり証人尋問を行うことになりましたので、傍聴くださいますようお願いします。

裁判の争点

① 適切な治療を行わなかった過失

他病院から救急で転院してきたにもかかわらず、入院後症状を軽視して、けいれん重積発作が起きているにもかかわらず適切な治療を怠ったこと。けいれん重積発作があった6月17日の段階で、ICUに移すなど速やかに対処すべきであった。

② 必要がないにもかかわらず危険性の高い治療を行った過失

被告病院は裁判で、入院後けいれん重積発作はなかったといい続けている。もしそうだとしたら、6月20日段階で被告がネンブタール(薬品名ペントバルビタール)の持続点滴を開始したことは、同療法の危険性を無視するもので、適応を欠く治療。

③ 説明義務違反

被告病院は、原告の症状や行った治療についてほとんど説明をしていない。特に危険性が高く、症状の重いときにのみ行うネンブタール持続点滴療法を実施するについても、その場にいた原告の両親に何の説明もしていない。

事案の特徴

空白のカルテ

この事件で注目されるのは、カルテの初期の部分の記載が、まるでレポートの様にかかれており、書き直されたようになっていることです。また、重要な時期のカルテの記載が3日間にわたり白紙になっていることです。

原告の症状についての後日の説明も明確でなく、原告側が納得できないままに説明を拒否されてしまいました。裁判になると、それまで重症だといっていたのに、けいれん重積発作は一度もなかったと言い出すなど、一貫しない対応をしています。

医療か研究か

このケースは原告側の知らないうちに、学術論文に書かれて発表されています。治療のやり方自体、実験的なものだったのではないか研究材料にされたのではないかとの思いがあります。