「病院に入院した患者の25人に1人(4%)が医療事故に遭っている」こと知っていますか?

「めったなことでは医療事故に会わない。」「医療事故が起こるのはごくまれなケースだ。」「医療ミスで死ぬ患者はごくわずか。」「自分は医療事故に会わない。医療事故とは一生無縁だ。」「医療事故なんて他人事だ。」

このように考えていませんか?私も実際に被害に会うまでそのように考えていました。誰もが、自分が実際に経験するまで医療事故を他人事と考えています。しかし本当にそれは正しいのでしょうか?つまり、医療事故が起こることは極めてまれで、大半の人には関係のないこと、考えなくて良いことなのでしょうか?

この件に関して、アメリカでの幾つかの調査が衝撃的な事実を、私たちに教えてくれます。

 医療は期待されているほど安全なものではない。医療におけるエラーが死や傷害の主要な原因になっていることを示す事実は数多くある。医療におけるミスによってアメリカ人の相当数が傷害・被害を受けている
 入院患者を対象にした2つの大規模研究、1つはニューヨーク州の1984年のデータ資料をもとにした調査研究、もう1つはコロラドとユタ両州の1992年のデータを用いた調査研究は、入院患者に医療的処置に関連した傷害を招いた有害事象(※医療事故)の発生率がそれぞれ3.7%、2.9%であったことを明らかにしている。そのうち医療上のエラーに起因する有害事象(防止できた有害事象)による傷害は、ニューヨーク州では58%、コロラド、ユタの両州では53%を占めていた。
 防ぐことができたはずの有害事象(※医療ミス)は、米国の主要死亡原因の1つになっている。これらの調査結果を1997年に米国で3360万人以上を数える入院患者に当てはめて推計すると、毎年少なくとも4万4000人、ことによると9万8000人が医療ミスにより病院で死亡していることになる。この少ないほうの推計値を用いたとしても、防ぎうる有害事象による入院患者の死亡件数は、米国の主要死亡原因8位の死亡者数を上回る。すなわち、自動車事故による死亡(4万3458人)、乳癌(4万2297人)、エイズ(1万6518人)より多い数字になる。

人は誰でも間違える―より安全な医療システムを目指して

 

我々の結果によれば、1984年にニューヨーク州における入院患者が被った不都合な事故(※医療事故)は、3.7%であった。このうち26.7%は、過失によるもの(※医療ミス)であった。…
 これらの数字は、10年以上前にカリフォルニア州でまとめたものに類似している。…それゆえに、これら2つの大規模で独立した調査によれば、すべての入院患者のほぼ4%に不都合な事故(※医療事故)が起こり、そのうち1/4は標準以下のケア(※医療ミス)が関わっていた

医療過誤対策―全米調査プロジェクト

(「※」付きカッコは引用者が挿入した。)

アメリカでの調査によると、なんとすべての入院患者の25人に1人(4%)が医療事故の被害にあっているという衝撃的な結果が出ています。(引用した2つの文章で、医療ミスの割合が異なるのは、定義が異なるからと思われます。)

ところでアメリカではなく日本では、毎年どのくらいの医療事故、医療ミスが発生しているのでしょうか?実は正確なデータは分かりません。アメリカでされたような詳細な調査は行われていません。

日本において医療事故が多少なりとも社会の注目を集めるようになったのは、1999年の横浜市大病院患者取り違え事件以後からです。それまでは医療事故の問題は、たいして注目されていませんでした。

日本での医療事故の件数を、アメリカの調査結果から推定してみましょう。最初の引用文の、毎年アメリカで9万8000人が医療ミスで死んでいるという結果を、単純に日本の入院患者数(1400万人)で置き換えると、日本では毎年4万1000人が医療ミスで死んでいる計算になります。

これは日本の主要死亡原因の5位に相当し、交通事故での死亡者数(平成19年度5,744人)の7倍以上の日本人が、毎年医療ミスで死んでいることになります。

医療事故、医療ミスは決して他人事ではありません。あなたが今度、病院に入院する際に、4%もの確立で医療事故の被害に遭うことを思い出してください。もう人事では居られなくなるのではないでしょうか。

前田 経一

会員からのお知らせ

会員からのお知らせです。

妻と次男の死亡した事件、医療事故の訴訟を起こしました。
第一回目の裁判期日が決定しましたので、
裁判傍聴をよろしくお願いいたします。 横井 駿男

日時 平成20年10月30日(木) 午後1時10分
場所 東京地裁八王子支部 401号法廷
原告 横井駿男・横井宏
被告 こうの産婦人科   

「先端医療」の落し穴‐姫路赤十字病院小児リンパ腫男児死亡訴訟をめぐって

本会副会長の事件が本になりました。ぜひお読みください。

「先端医療」の落し穴‐姫路赤十字病院小児リンパ腫男児死亡訴訟をめぐって

訴訟の歴史的な意義と先端医療を行う条件への提言。姫路赤十字病院で行われた抗ガン剤による小児リンパ腫の治療を受けていた男児が死亡した事件(2008年10月に大阪高裁で和解成立)をめぐって、遺族が起こした訴訟の記録。

http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32147504

http://www.ochanomizushobo.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-275-00592-2

医療過誤原告の会 関西地区集会のおしらせ

本会が関西地区で集会を行います。(会員以外の方もご参加いただけます。)

日時   10月26日(日) 13:00 ~
場所   神戸市三宮センタープラザ西館 6F 10号室
      (JR・阪神・阪急・地下鉄「三宮駅」より徒歩5分 →地図
内容   ・第17回総会・シンポジウム準備
      ・会員の現状報告と交流
連絡先 篠原聖二副会長 (電話 050-3327-7767)

人権講座 「ネット社会と人権侵害-医療被害者の経験すること」

奈良女子大学で、下記の企画がございます。 ご多忙中恐れ入りますが、ご出席いただけましたら幸いです。恐れ入りますが定員の都合がありますので、ご参加のときは、お手数ですが事前にお知らせ下さい。よろしくお願い致します。

人権講座 「ネット社会と人権侵害-医療被害者の経験すること」

杉野文栄 (杉並割り箸事故事件) 30分
 高崎憲治 (大淀町立病院事件) 20分
 山口研一郎 やまぐちクリニック院長 20分
 質疑応答 20分

日時 10月10日(金) 16:30-18:00
 場所 奈良女子大学 生活環境学部会議室 約80席

趣旨
    医療事故被害者は、事件そのもので本人および家族に身体的・精神的・社会的被害が及ぶだけではなく、その後の社会から受けるバッシングによっても大きな被害を受ける傾向がある。この講演会では、1999年7月に杉並区の養護学校行事で綿飴を咥えて転倒し、口蓋内に折れた割り箸が残留してなくなった事件の当事者である杉野さんと、大淀町立病院で出産中に脳出血を起こし搬送先が6時間見つからずにようやく受け入れられた病院で1週間後に亡くなられた女性の義父に当たられる高崎さんから、事件後に、とくにネット上で医師等から受けたバッシングについて語っていただく。
   また、医師の立場から、山口研一郎氏よりネット社会において医療被害者の人権をどう守って いかなければならないかについて語っていただきます。

奈良女子大学 栗岡幹英

関連記事: 「憶測で中傷しないで」 死亡妊婦の遺族ら講演 【共同通信】
      ネット社会と人権考える 妊婦死亡・遺族、中傷で2次被害も 【毎日新聞】

医療の良心を守る市民の会シンポジウムのお知らせ

医療の良心を守る市民の会 第6回シンポジウムinなごや

テーマ:「医療事故調査に期待すること」

日時:平成20年10月25日(土) 13:30~17:00
会場:愛知県勤労会館 名古屋市昭和区鶴舞1-2-32 TEL(052)-733-1141
JR◇名古屋駅~中央線「鶴舞駅」 下車公園口より南へ徒歩5分
地下鉄◇名古屋駅~東山線に乗車1区間「伏見駅」 乗換え、伏見駅~鶴舞線に乗車、2区間「鶴舞駅」下車5番出口より南へ徒歩5分

参加費:無料(募金をいたします)
定 員:210名 (事前登録優先)

●17:30~ 交流会 先着50名まで 会費:4,000円 場所:同会館 レストラン

【主催】:医療の良心を守る市民の会 
(問い合わせ先&事前登録先)
E-mail; liaison_office@yahoogroups.jp  Fax;047(380)9806
〒124-0012  葛飾区立石5-2-2-802 清水方

詳細は「医療の良心を守る会」のサイト(下記ページ)でご確認ください。 http://ryousin.web.fc2.com/