「医療崩壊」(出版 朝日新聞社)の著者、小松秀樹氏への公開質問

平成20年4月1日

「医療崩壊」著者
小松 秀樹 様

前田 経一
(医療過誤原告の会)

「医療事故被害者とクレーマー」に関する質問について

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。突然の質問をお送りする非礼をお許しください。

私は前田経一と申します。医療事故被害者の集まった団体である「医療過誤原告の会」の事務局長を務めており、医療事故問題に関心をもっている者です。

今回、質問をお送りしたのは、小松様の執筆された本である「医療崩壊」の記述に関してお尋ねしたいことがあったからです。

つきましては、ご多忙とは存じますが、次頁の質問・回答欄にご記入の上、本年4月末日までにご返送して頂ければ幸いです。

本質問は、誠に勝手ながら「医療過誤原告の会」の公式サイトにて、公開質問という形で公表する予定です。小松様より頂いたご回答も併せて公開させて頂きたいと考えております。

お手数をお掛けして誠に申し訳ありませんが、ご理解いただき何とぞよろしくお願い申し上げます。

敬具

1、「医療崩壊」の「医事紛争の当事者には…本当の被害者も存在するが、それよりもクレーマー型の当事者の方が多く」(33p)という記述に関して質問します。

現在も「医事紛争の患者側当事者にはクレーマーが多い」という認識をお持ちですか?

[  1、現在もそう考えている。   2、現在その様に考えていない  ]

2、「医療崩壊」の執筆において、「医事紛争の患者側当事者にはクレーマーが多い」とされた根拠をお答えください。

[                                           ]

以上

会費・寄付の振込先口座が変更

会の口座が以下のように変更になりました。

銀行振込先

銀行: りそな銀行 目黒駅前支店
口座: 普通口座 1934242
名義: 医療過誤原告の会 ( イリヨウカゴゲンコクノカイ

郵便払込先

口座番号: 「 00140-3-561450 」
加入者名: 「 医療過誤原告の会 」

今後、寄附や会費の納入の際は、この口座にお願いします。

会員の事件が関西テレビ「スーパーニュースアンカー」で特集

3月13日関西テレビの「スーパーニュースアンカー」で、会員で関西支部代表の篠原聖二さんの事件が、国の医療事故調設立の動きと共に特集され放映されました。

http://www.ktv.co.jp/anchor/today/2008_03_13.html#02

[flv href=”/uploads/20080315-news.flv” width=”320″ height=”240″ autostart=”false” /]( ↑ 上の黒い画面を2回クリックすると、動画が再生されます。 )

患者で考える医療過誤訴訟 ~医療事故の対処法~

1、証拠保全をする

医療裁判をおこすには医療ミスを証明するカルテやレントゲン写真が必要になります。これらはいつまでも保存されているわけではないので、廃棄されたり紛失されたりする前に確保しておかなければなりません。このための裁判上の手続きが「証拠保全」です。

①、まず裁判所に申し立てをする。

②、申し立てから証拠保全期日(病院へ行ってカルテのコピーをとりよせること)申し立て後通常一カ月以内に、裁判所の証拠保全決定が出されます。

③、証拠保全期日の当日に行なうこと
カルテを改ざんされるおそれがあるので相手の病院へ事前の連絡は入れません。
当日、裁判官・書記官と一緒に病院に行ってカルテをコピーします。(申し立て代理人の弁護士が代行しているのが現状)レントゲンフィルムの記録があると思われる場合には一眼レフのカメラが必要です。証拠保全は一回だけで、やりかえはきかないので具体的なことは弁護士に相談してください。

④、調書の謄写請求
コピーしたカルテや撮影したフィルムは裁判所が証拠保全調書を作成した後、謄写請求してカルテのコピーがやっと患者の手に入ります。証拠保全してからカルテのコピーが手に入るまでおよそ3~4カ月です。

2、カルテの検討

訴訟、調停、示談交渉

カルテをよく読み込み、過失及び証拠がどれだけ十分かによって訴訟→調停→示談交渉の順で選択する手段をきめます。過失が明らかで証拠が揃っているときは訴訟の方法で、いずれも不十分なときは示談交渉で、その中間の場合は調停を選ぶことになります。

3、裁判のゆくえ

裁判は弁論と証拠を調べる段階とにわけられます。弁論はおよそ一カ月ないし一カ月半に一回のペースで5、6回くりかえし、証拠調べではおよそ3~4カ月に一回の割合で3~10回ぐらいが平均。これらが終丁すれば判決がだされます。提訴から判決までの平均期間は2~4年で、判決が出ても控訴されればさらに数年続くことになります。早い事件では一年数か月で患者側勝利が確定することもあり、十年以上しても判決がでていない例もあります。

4、医療裁判をするためにカルテはどんな意味があるか

医療は患者の病状の推移や検査結果に応じて、投薬・手術などの処置を順次行っていく作業です。当然その内容を記録に残していかなければ十分な治療をおこなうことはできません。したがってカルテは適切な治療を行うために不可欠なものです。その医療が医療過誤にあたるのかどうかの判断に、最も基本的な資料になります。事実経過と過失の有無についてカルテ扱きに判断できないと言えます。

また、医療記録は、裁判に勝つためだけの便宜的な資料だけではありません。やり場のない憤りを確信に育てるために、自分の信じることを他人も共感できる内容に広げるためになくてはならないものなのです。

医療裁判では専門家である医師を相手に、その医師が書いたカルテが重大な証拠として争われるのでこれを上回る準備がなければ裁判には勝てません。しかしカルテをよく検討し、医学知識を身につければ本来勝つべき事件かどうかは、医学や法律に素人でもおよその予測がつきます。過失および証拠がある程度揃っていて、費用と時間がかかりながらも、あえて裁判を希望する人が多いのは、事の是非を明らかにしてほしいという願いが患者側に根強いからです。このように訴訟では被害者救済という面と同時に、社会的制裁という面も大きな意味を持ちます。

5、訴訟は何のためにするのか

医療被告に対して硯在、保険制度やこれを対象にした社会保障制度はありません。一方加害者である医療側には各種の医療保険が整備されています。そのため被害者は泣き寝入りか加害者に負担させるために闘うか、この二つの選択しかありません。加害者が被害を負担すべきであることを社会的に明確にするしくみが民事戌判です。被害者が望むのはいうまでもなく被害の救済と事故再発の防正です。事実関係を明らかにすること、そして医師の行動(細かな医学専門的姿勢ではなく、社会人としての医師のあり方のの観点から判断するもの)の当否をきっちり判定することが裁判の基本です。裁判が個人的な動機に根ざしたものであっても、そこで示される判断内容が、社会のありかた(なにが許され、何が許されないかを公的に明らかにすること)に深くかかわっています。

6、裁判にかかる費用

相談費用

最初の相談段階で弁護士へ支払うお金です。

訴訟費用の概略

1、弁護士の収入になるお金

着手金と成功報酬とがあり、着手金は訴訟をおこすときに支払うもので、報酬金は事件が終了したときにその成功の度合いに応じて支払うものです。

2、実費として立て替えるお金

弁護士が訴訟を担当するのに必要な交通費・通信費・文献資料費・出張日当・謄写料などです。交通費・出張日当を除けばおよそ二~三十万円で事件解決までまかなえます。

3、裁判所に納めるお金

訴訟を起こす時に納める印紙代、郵便切手代、鑑定費用などです。印紙代は請求額一千万円につき約五万円、五千万円請求で十七万円、一億円請求で三十二万円です。切手代は約八千円、鑑定費用は五~七十万円が相場です。また依頼人の費用負担を軽減する方策として、訴訟救助と法律扶助による立て替え制度があります。詳しいことは弁護士に相談してみましょう。

(会報 第5号~10号連続医療講座 石川寛俊弁護士講演より抜粋)

医療過誤事件捜査を放置 人手不足の警視庁捜査一課

医療事故の刑事捜査の実態について記事があったので、ご紹介します。

医療過誤事件捜査を放置 人手不足の警視庁捜査一課

警視庁捜査一課が医療過誤事件の扱いに頭を抱えている。捜査一課は殺人事件などのほかにパロマの湯沸かし器事故やユニマットグループのガス爆発事故などを抱えているうえ、医療過誤事件も担当。「あまりに扱う事件が多すぎて医療過誤にまで手が回らないのが実情」(捜査関係者)というのだ。

「一課の特殊班が医療過誤を担当している。彼らは医療過誤のスペシャリストで医療に精通しているものの、人数はたったの4人。しかも4人ともユニマットグループのガス爆発事故などに動員されているため、医療過誤事件の処理は実質的に開店休業状態。現在、捜査一課が未決のまま抱えている医療過誤事件の数は実に約120件に上る」(前出の捜査関係者)

…(中略)…

これ以上、医療過誤を処理できないため、近頃では被害者遺族が警視庁に告発してもなかなか受理されない」(医療ジャーナリスト)

しかも業務上過失致死傷で医師を立件しても、最近は無罪判決が出るケースが増えており、医療界からのしっぺ返しを恐れた検察が医療過誤を扱いたがらなくなっている。これでは医療過誤で無念の死を遂げた患者と遺族は浮かばれない。

ザ・ファクタ (2008年2月号)より

全文は、こちらでご覧ください。

医療の良心を守る市民の会 緊急シンポジウムのお知らせ

テーマ「中立公正な医療事故調査機関の早期設立を望む」

日 時:平成20年3月15(土)13:30~17:00
会 場:全日通霞ヶ関ビルディング(千代田区霞ヶ関3-3-3)

シンポジスト
岩岡 秀明(医師)
木下 正一郎(弁護士)
佐原 康之(厚労省)
豊田 郁子(医療事故被害者)
山内 春夫(医師)
コーディネーター
勝村 久司(医療情報の公開・開示を求める市民の会)
清水 陽一(医師)

【主催】: 医療の良心を守る市民の会
(問い合わせ先&事前登録先)
E-mail: liaison_office@yahoogroups.jp
Fax: 047(380)9806
〒124-0012 葛飾区立石5-2-2-802 清水方

詳しくは、医療の良心を守る会ホームページまで。

医療過誤原告の会シンポジウム(2007年12月16日)レポート

医療過誤原告の会 事務局

1、 宮脇正和 会長挨拶

医療過誤原告の会は、医療被害者の声に答えながら、これからも活動を続け、社会的にアピールしていく。

2、 鈴木利廣氏(医療問題弁護団代表)講演
「患者の人権確立と医療被害者運動の役割」

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人権の一部として患者の権利があり、安全な医療を受ける権利がある。患者が権利を要求して、社会が認めることで初めて人権として成立する。

また、被害を受けた場合に救済・回復を求めることも正当な権利。被害者が求めるものには、原因究明、責任と謝罪、再発防止、補償・賠償、場合によっては社会的制裁などがある。

自分たちの権利を守るためには、被害者自身が努力し運動していかなければならない。また、市民運動として展開する際は、被害者のみならず、被害にあっていない多くの一般市民の共感を得ていく必要がある。そして、専門家との協調のもと、要求を統一して政策立案過程に参加することが重要。

3、 杉野正雄氏 医療被害報告

医師が診察で割りばしを見逃した後、三男が亡くなる。刑事一審ではカルテ改ざんや過失が認定されるも、死亡との因果関係が認められず。

事件後、マスコミの取材に応じたことで、心ない医師から不当な嫌がらせや誹謗中傷を受ける。最初はインターネット上だけだったが、最近は書籍による中傷も出てきた。

4、 小室義幸氏 医療被害報告

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出産事故で娘と孫を同時に亡くす。民事裁判は継続中。事故後、院内に事故調査委員会が出来るも、明確な説明がなく不誠実な対応だった。

5、 勝村久司氏 講演
「医療被害者の願いと医療過誤裁判」

事故で息子を亡くした後、被害を意味のあるものにしたいとの思いで裁判を始める。当時丁度、医療過誤原告の会が設立され関わることに。

裁判はカルテ改ざんとの戦いだった。医療裁判では多くの例で、改ざんや偽証などのウソが存在している。

最近はインターネットなどを利用した誹謗中傷が問題に。

6、 肥田泰氏(全日本民主医療機関連合会 会長)講演
「医療事故を取り扱う第三者機関の早期実現を求めて」

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ミスは起こる可能性があるものとしてとらえ、原因調査や再発防止に役立てる制度が必要。

民医連の病院では、事故が起こった場合、患者の人権に配慮して誠意をもって対応するようにしている。

独自に事故事例を収集・調査し再発防止のための方策をまとめている。

事故被害に対する社会保障制度が必要。

7、 シンポジウム「医療被害者の苦しみは医療改革の原点」
勝村久司 肥田泰 杉野文栄 小室義幸 宮脇正和 前田経一

主に、厚生労働省が検討している医療事故調査委員会について、検討会の第二次試案等の資料を参照し、フロアからも意見もお願いしながら論議した。医療事故の死因解明をはかる公的機関の設立を、早期に願う声が会場から強く出された。

「医療の良心を守る市民の会」代表の永井裕之さんは、都立病院で点滴に消毒液混入で奥様を亡くされた際、警察による捜査で死因究明できた体験を報告し、医療事故における刑事捜査の重要性を発言された。

また、一部の医師やマスコミ関係者がインターネット等で、医療被害者が裁判を起こすことが「医療崩壊の要因」であるかのように主張や、被害者運動をおこなっている人々を誹謗中傷する状況が広がっている事も報告され、この動きに対して、やむを得ず裁判に追い込まれてる医療被害者や、医療過誤裁判の実態と大きくかけ離れた、一方的で不当な主張となっている点に留意して、医療被害者からの運動を強める必要性も語られた。

会場:東京都 東村山市立 中央公民館