医療訴訟:課題指摘 「事故情報の共有を」 原告の会・宮脇さん講演−−熊本市 /熊本
毎日新聞 2013年11月05日 地方版
医療事故被害者と家族に対し、助言などの支援を行う「医療過誤原告の会」の宮脇正和会長(63)の講演会が4日、熊本市のくまもと県民交流館パレアであり、約40人が参加した。【松田栄二郎】
東京都東村山市在住の宮脇さんは、83年に診療ミスで次女のあゆちゃん(当時2歳)を亡くした。当初、医師から「(親が)きちんと面倒を見ていなかったのではないか」と高圧的な態度で言われ、死因の説明も何度も変わったという。その不信感から民事訴訟を起こし、娘の死から10年後に和解した。
講演では、医療事故に対して患者や家族が訴訟を起こそうとしても、協力してくれる医師や弁護士が見つかりにくいうえ、裁判にかかる費用負担も大きいなどの理由で、多くの人が泣き寝入りしている、と課題を説明。医療機関が事故情報を占有せず、情報を患者と共有するべきだと主張した。
さらに「医師個人に責任を押しつけたり、病院を経営難にするのが我々の活動の目的ではない。事故の教訓を生かし、背後にある医療システムの問題点を改善して質の高い医療を実現するのが目的だ」と訴えた。