「医療事故調査制度、これでいいのか?」をテーマに、12月5日東京で、医療過誤原告の会シンポジウムを開きました。はじめに、3人の被害者遺族が、母が造影剤ミスによる死亡で主治医が刑事罰が確定した事件、精神科病院のずさんな薬処方と管理で子息が自殺に追い込まれた事件、父親が医療事故で死亡した公立病院の医療安全を市民ぐるみで高めようとしている運動をそれぞれご報告いただきました。続いて医療事故調査制度設立運動を長年にわたって続けてこられた木下正一郎弁護士、永井裕之患医連代表が講演で、運動の成果と事故調査制度の課題を問題提起されました。休憩をはさんで、シンポジウムでは、冒頭に今年10月の医療事故調査制度発足以降に、ご家族が医療事故死され、病院が事故としてセンターに届け出た二人の方に、事故内容と病院が届け出るようになった経過、遺族が感じている課題を話していただき、もう一人の遺族は手紙で病院がセンターへの届け出を拒んでいる問題が報告されました。いずれも、事故の判断が病院管理者の判断次第で決まってしまい、遺族の思いに寄り添う運用ができない調査制度の重要な課題が浮き彫りになりました。シンポジウムでは会場から、入院に際して主治医が「死亡のリスクがある」内容の書面読み上げ、病院が「死亡を予期した」証拠として制度に形式的に対応している動きも報告されました。当日はメディアの取材が多く、医療事故調査制度が公平な調査や再発防止につながっていない問題点を指摘した、遺族の発信に注目が集まりました。医療過誤原告の会は、公平な医療事故調査制度の運用をめざして、引き続き運動を進めていきます。