医療事故調査制度法案可決成立にあたっての声明

                                                 2014年6月18日

医療過誤原告の会 会長 宮脇正和

本日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が成立し、医療法改正によって、平成27年10月より、第三者医療事故調査機関の設置を含む新たな医療事故調査制度が運営されることが決定しました。

私たち医療事故被害者・家族は、医療事故の原因究明・再発防止、医療の質と安全性の向上を願って運動を続けてまいりましたが、法案成立は大きな第一歩と評価し、ご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。

ただ、上程された法律案は19もの法律の改正を行う一括法案であり、与野党で熾烈に意見が対立する法律改正が含まれていたため、医療事故調査制度に関する審議には、限られた時間しか割くことができませんでした。 その中でも参議院厚生労働委員会では医療事故調査制度に関する参考人質疑、問題点や課題を明らかにする討論が行われました。その結果、同委員会で附帯決議がなされました。

私たちは他の被害者団体等と共同で、本年5月18日付にて各政党に対し「医療事故調査制度創設のための集中審議を求める要望書」を提出し、適正な医療事故調査制度を求めてきました。附帯決議は私たちの意見を入れていただいた結果と評価しております。

医療事故調査制度は、来年10月の施行となりましたが、国会質疑で指摘された課題は、ガイドラインづくりに先送りされました。 医療事故調査制度が中立性、透明性、公正性及び専門性を確保して医療事故の原因究明及び再発防止を推進し、医療の質と安全性の向上に資する制度として運用され、社会に信頼される制度となるよう、適切なガイドライン策定に向けて、引き続き運動を進めてまいります。

             今後のガイドライン策定への課題

1、調査対象

医療事故調査の対象を病院の管理者が判断したものだけでなく、遺族や医療者にも届け出の窓口を設ける事。

2、遺族への情報開示

事故発生後すみやかにカルテ・コピー等の情報を遺族に提供し、事故調査にあたって、情報の共有をはかること。

3、中立性・透明性・公平性の確保

院内事故調査、第三者機関の調査及び運営に、医療事故の被害者で医療事故再発防止に取り組む者、患者側弁護士等を入れる。

4、全国的に均一で質の高い調査の実現

院内事故調査を支援する組織は、利益相反になりやすい都道府県単位ではなく、複数の都道府県構成のブロック制とし、調査水準の均一性をはかる。

5、費用の公的負担

遺族による申請を妨げることにならないよう、費用は公費負担とする。

 以上

「医療版事故調」法案が可決・成立 ~参院本会議~

今国会で審議中の「医療版事故調」原案及び付帯決議案は、本日(6月18日)開催された参議院本会議で可決・成立しました。下記URLで本日の様子を録画でご覧いただけます。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

開いたら画面左上のカレンダーで6月18日を選択し、2014年6月18日の 「本会議」をクリックしてください。 録画タイムコード (02:00 以降~)でご覧いただけます。