~毎日新聞転載~
政府は12日、医療提供体制と介護保険制度を一体的に見直す「地域医療・介護確保法案」を閣議決定する。近く国会に提出し、成立を目指す。社会保障制度改革の工程を定めたプログラム法の中身を実行に移す法案の第1弾。国が904億円を投じて各都道府県に基金を設置し、地域医療、介護の充実に財政支援をすることや、医療版事故調査制度の新設が柱だ。在宅医療の推進から介護保険の負担増まで、異なる分野を網羅した一括法案となっている。【中島和哉、桐野耕一】
新たに4月以降設けられる基金には、消費増税で得られる財源などを充てる。都道府県は医療提供体制の確保や、かかりつけ医の支援で住み慣れた場所で暮らし、介護サービスも使いながら自宅で最期を迎えられる「地域包括ケアシステム」の推進などに基金を活用できるようになる。
また、都道府県の医療に関する権限を強化する。都道府県は2015年度に「地域医療ビジョン」を作成、医療機関からの報告を基に重症患者向けの入院ベッド(病床)削減計画なども盛り込むが、病院が計画に反して病床を増やそうとした際には病院名の公表や、補助金の停止ができるようにする。
このほか、医療事故の再発防止を目指し、患者が予期せず死亡した場合に医療機関が第三者機関に届け出た上で調査をする医療版事故調査制度を新設する。さらに医師の負担軽減策として、人工呼吸器の設定変更など高度な診療補助に看護師が一定の裁量を持てるようにするための研修制度をつくる。
介護では、軽度の「要支援1、2」向けの通所・訪問介護事業を15年度から3年で市町村の地域支援事業に移す。15年8月には、年収280万円以上の人の介護保険の自己負担割合(1割)を2割に引き上げる。現在5年ごととなっている都道府県の医療計画策定時期を、介護保険にそろえて6年ごとに変え、医療と介護の連携を強化する。