朝日新聞社および小松秀樹氏に対して「医療紛争の当事者にはクレーマーが多い」という記述の修正を求める文章を送付しました。

平成20年6月9日

朝日新聞社 代表取締役社長 秋山耿太郎 様
「医療崩壊」著者 小松秀樹 様

医療過誤原告の会
会長 宮脇正和

「医療紛争の当事者にはクレーマーが多い」という記述の修正要望

「医療崩壊」(小松秀樹著 朝日新聞社刊)における「医事紛争の当事者にはクレーマーが多い」(33p)という趣旨の記述は、合理的根拠が無く、偏見に満ちた記述で、大変遺憾です。

現在、医療事故被害者への中傷が横行しています。この様な記述は、医療事故被害者への中傷を助長する危険性があり、該当部分の修正を強く求めます。

( ※実際に送付した文章はこちら(PDF)です。 )

関連リンク:朝日新聞からの回答について

医療事故被害者に対する中傷に強く抗議します

昨年の当会主宰のシンポジウムでも話題に上がりましたが、医療事故の被害者に対する中傷が横行しています。

ネットで横行、患者中傷」(MSN産経ニュース)
患者中傷 医療事故被害者が標的に」(共同通信)

医療事故で予期せぬ被害を受けた者が、真相究明、再発防止、被害の救済を求めることは正当な要求であり、非難を受ける筋合いは全くありません。

中傷によって医療者と事故被害者との相互不信が増し、問題解決への道のりがさらに困難になるのであれば、大変残念です。

本会は、医療事故の被害者に対するあらゆる中傷に、強く抗議します。

医療安全調査委員会(死因究明制度)の早期設立を求める要望書の提出および記者会見を行いました

080514102

本会「医療過誤原告の会」に加えて、「医療事故市民オンブズマン・メディオ」、「医療情報の公開・開示を求める市民の会」、「医療の良心を守る市民の会」、「陣痛促進剤による被害を考える会」、「東京女子医大病院 患者家族連絡会」の計6団体は、本日(5月14日)医療安全調査委員会の早期設立を求める統一意見を発表し厚生労働省に提出、および記者会見を行いました。

( ※各社報道記事  共同通信毎日新聞

医療従事者の方々へのお願い

医療行為により予期せぬ被害が起こり、病院の説明に納得が出来ない場合、医療事故の被害者としては、現在原因調査のための専門機関がない以上、警察にその役割を期待するほかありません

しかしながら、医療の素人である警察は、そのような被害者の期待に応える能力を持ち合わせていないうえ、医療者側からは、病院への警察の介入が「委縮医療につながる」との指摘がなされています。

医療者を中心としたピアレビュー(同業者による審査)をもとに、公正に原因調査行う機関が出来ることで、上記問題は解決できます。これは患者のみならず医療者にとっても大きなメリットです。

本会としては、医療者の皆様にも、そのようなメリットを踏まえ専門機関の設立に積極的に賛同されることを期待しています。

医療事故の原因究明の為の機関を、早急に設立ことを求めるパブリックコメントを厚労省に提出しました

厚生労働省殿

医療過誤原告の会

(医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する)第三次試案は、第二次試案より医療側に大幅に配慮した内容で、事故の原因究明が同僚審査の偏向を排して公正に行なわれるか、はなはだ危惧する心配がある。

しかしながら、医療被害者は長年にわたって、医療事故の原因を調査する公的機関の設立を強く望んでおり、医療過誤問題が社会問題として注目されはじめた、1999年の横浜市立医大患者取り違え事件から数えても、既に9年もの歳月が経過している。 そのような経緯を考えれば、これ以上懸案を先送りすることは、決して許されるものではない。

医療過誤原告の会は医療被害者の団体として、この第三次案をもとにした、医療事故の原因究明・再発防止の為の仕組みを、早急に作ることを強く求めます。

「医療崩壊」(出版 朝日新聞社)の著者、小松秀樹氏への公開質問

平成20年4月1日

「医療崩壊」著者
小松 秀樹 様

前田 経一
(医療過誤原告の会)

「医療事故被害者とクレーマー」に関する質問について

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。突然の質問をお送りする非礼をお許しください。

私は前田経一と申します。医療事故被害者の集まった団体である「医療過誤原告の会」の事務局長を務めており、医療事故問題に関心をもっている者です。

今回、質問をお送りしたのは、小松様の執筆された本である「医療崩壊」の記述に関してお尋ねしたいことがあったからです。

つきましては、ご多忙とは存じますが、次頁の質問・回答欄にご記入の上、本年4月末日までにご返送して頂ければ幸いです。

本質問は、誠に勝手ながら「医療過誤原告の会」の公式サイトにて、公開質問という形で公表する予定です。小松様より頂いたご回答も併せて公開させて頂きたいと考えております。

お手数をお掛けして誠に申し訳ありませんが、ご理解いただき何とぞよろしくお願い申し上げます。

敬具

1、「医療崩壊」の「医事紛争の当事者には…本当の被害者も存在するが、それよりもクレーマー型の当事者の方が多く」(33p)という記述に関して質問します。

現在も「医事紛争の患者側当事者にはクレーマーが多い」という認識をお持ちですか?

[  1、現在もそう考えている。   2、現在その様に考えていない  ]

2、「医療崩壊」の執筆において、「医事紛争の患者側当事者にはクレーマーが多い」とされた根拠をお答えください。

[                                           ]

以上

鈴木利廣 弁護士 講演 動画

[flv href=”/uploads/20071216-02.flv” width=”320″ height=”240″ autostart=”false” /]( ↑ 上の黒い画面を2回クリックすると、動画が再生されます。 )

「患者の人権確立と医療被害者運動の役割」
鈴木利廣 弁護士 ( 医療問題弁護団代表 )

2007年12月16日、医療過誤原告の会シンポジウムにて

講演時に使用したレジュメはこちら(PDF)です。

厚生労働省医政局長に舛添大臣あて要望書を提出しました

要望書提出

27日、「第10回 診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」傍聴終了後、17:30分に、当会会長の宮脇正和、会員の小室義幸、事務局長の前田経一が、厚生労働省に医政局長 外口崇 氏を訪ね、先日取りまとめた要望書を舛添大臣宛で提出しました。

また今回NHKの取材も行われ、会長の宮脇がインタビューに答えました。

(この様子は、28日朝のNHKニュースにて放送予定です。)

医療従事者の責任逃れのためではなく、医療事故の真相究明、被害の救済、再発防止のための、公的機関設立を求める要望書

PDFPDF版はこちら

医療過誤原告の会
会長 宮脇正和

これまで医療事故に遭い、医療機関の説明に納得することが出来ない被害者たちは、司法の場で、真相究明と被害の救済を求める以外に、選択肢が存在しなかった。

しかしながら、民事裁判においては、私的紛争として扱われ、被害者側が医師の過失および被害との因果関係を自ら立証する必要があるなど困難な作業を強いられ、その負担に耐え判決まで至ったとしても、結果、裁判所が訴えを認める可能性は低かった[1]。また刑事においては、そもそも医療は聖域となっており、医療事故の数に比べ起訴される件数が極端に少なく[2]、起訴されるべき悪質な事案[3]であってもなかなか起訴されない上、刑事裁判の結果真相解明がなされるとは限らなかった。このような状態の中で多数の医療被害者は、司法によっても見捨てられ、泣き寝入りを余儀なくされてきたのが現状である[4]

ゆえに公的機関が設立され、司法に頼らない公的事業として医療事故の真相究明、被害の救済、再発防止がなされることは、医療事故被害者にとって長年の切実な要望だった。

今年、厚生労働省は「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」を開催し、「医療事故調査委員会(仮称)」を設立する試案を公表した[5]。また、与党自民党においても「医療紛争処理のあり方検討会」にて、検討が行われている。

しかしこのような中、主に福島県立大野病院の産婦人科医逮捕を契機に、一部では、被害者を顧みることなく医療従事者の方向のみを向いた議論が行われている。

医療事故調査委員会が、患者との信頼関係を生み、結果として医療従事者の利益となるのであれば望ましいが、医療従事者の保身や責任逃れ、訴訟回避を目的とした「隠れみの」として利用されるのであれば、問題である。

裁判を受ける権利が憲法上保障されている以上、委員会はまず何よりも医療事故被害者の信頼を得るものでなければならない。さもなければ医療事故被害者は、いままでと同様、司法によって真相究明を図らざるを得なくなる。

医療事故調査委員会は、なによりも医療事故被害者の真相究明、被害の救済、再発防止といった切実な願いを実現するために設置されるべきである。

以下そのような観点で、医療事故調査委員会のあり方について要望を行う。

1、医療事故の原因究明、被害の救済、再発防止を組織の目的として、明確に位置づけること。

2、委員の構成員として医療事故被害を経験した一般市民を加え、重要な役割を担わせること[6]

3、診療行為によって患者が予期せず死亡または身体に障害を負った場合、医療機関に届け出義務を課すと共に、医師法21条との整合性を図ること。

4、原因究明の為に、強力な調査権限を付与すること。

5、作成した調査報告書等は、個人情報に関わる部分を除き、医療機関名も含めて全て公開すること。

6、調査の結果、医療側に過失がないと判明した事案、および過失が疑われるものの被害の原因と断定するには至らなかった事案については、医療事故の公的な被害補償制度[7]を設けて、その補償対象とすること。

7、調査の結果、医療側に過失ありと判明した事案については、行政処分[8]および刑事処分[9]の対象とすること。ただし、過失の程度が軽度で、被害の謝罪と補償が行われ、再発防止策が実施された場合には、捜査機関と調整し刑事処分を見送ること。

8、十分な予算と人材のもと、早期に制度を開始すること。

以上

 


[1] 医事関係の訴訟の認容率(訴えが一部でも認められた割合)は3割から4割と、通常の訴訟の8割強に比べ、極端に低い。最高裁判所「地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率」http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/izikankei/toukei_03.html

[2] 年間平均15件程度。飯田英男「刑事司法と医療」『ジュリスト』1339号 62頁。

[3] 例えば、医療ミスを何度も繰り返す「リピーター医師」、カルテ改ざんや偽証、その他、医療倫理から逸脱した診療行為、重大な過失など。

[4] 過失を表す明確な証拠が存在せず弁護士に訴訟を相談しても断られる、多数の医療事故被害者の存在も忘れてはならない。

[5] 厚生労働省「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案-第二次試案」http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1108-8c.pdf

[6] 医療側だけであれば言うまでもなく、例え運営に患者側の弁護士が参加していたとしても、弁護士は職業として代理人を行っているのであって、直接の医療事故経験者でないことに留意する必要がある。医療事故被害を経験した一般市民が運営に参加しない場合、公平性や信頼性を欠くことになる。

[7] (財)日本医療機能評価機構で議論されている産科医療補償制度と連携を図ると共に、対象を全分野に広げること。

[8] 再教育研修を含む。

[9] 医療従事者のみ特権的に、業務上過失致死傷罪が免責される理由は見当たらない。