「今こそ患者の権利・医療基本法を!-患者の権利宣言25周年記念シンポジウム-」が開催されました。

2009年10月31日、愛知県産業労働センターにて、「今こそ患者の権利・医療基本法を!-患者の権利宣言25周年記念シンポジウム-」が開催されました。

講演、パネル・ディスカッションに続いて、下記「医療基本法制定を求めるアピール」が全会一致で採択されました。

医療基本法制定を求めるアピール

日本における表立った患者の権利運動は、1984年10月、患者の権利宣言全国起草委員会による「患者の権利宣言案」発表に始まりました。

それから25年、患者の権利運動は、インフォームド・コンセントの普及、カルテ開示の制度化、医療安全に対する取組の強化等、様々な成果を獲得し、医療のあり方に大きな影響を与えてきました。

しかし、その一方で、医療費の患者自己負担は年々増加し、経済的理由で医療機関を受診できない患者が増えつつあります。また、医師数の絶対的不足さらには診療科目間及び地域間における医師の偏在等により、必要な医療を受けるのが困難な事態も生じており、医療現場からは「医療崩壊」の叫びが挙がっています。

このような状況が進めば、患者の権利の根本である「医療を受ける権利」が空洞化し、自己決定権や安全な医療も、経済的条件及び地理的条件に恵まれた一部の患者のものになりかねません。

このような状況を乗り越え、国民の生命と基本的人権を守る医療を構築するた めには、「安全かつ質の高い医療を受ける権利」及び「患者の自己決定権」を柱とする患者の権利を国民に保障し、その権利の実現のために医療供給体制及び医療保障制度を整備する国及び地方公共団体の責務を明らかにする法律を、 日本の医療制度全ての基本法として制定すべきです。

本年4月、「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」は、「患者の権利擁護を中心とする医療の基本法」の制定を提言する報告を厚生労働大臣に提出し、また6月には、安心社会実現会議の最終報告書に、患者の自己決定権と最善の医療を受ける権利を明確に規定する基本法の制定を2年を目途に推進するとの文言が盛り込まれました。

医療の危機を憂い、患者の権利の法制化を求める声は、医療を受ける側、医療を提供する側の垣根を越え、国民的合意になりつつあります。

私たちは、国に対し、速やかに患者の権利と医療の基本理念を明記した医療基本法の法制化に向けての作業に着手するよう要望するとともに、私たちも、法制化実現に向けて努力していくことを宣言します。

2009年10月31日
患者の権利宣言25周年集会参加者一同

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。