会の活動がNHKニュースで報道されました” への1件のフィードバック

  1. 医療過誤原告の会様、はじめまして。澤田石と申します。
    秋田県出身、平成元年卒業の医師です。日本の医療が崩壊過程に
    あることはよく御存知かと思います。人手不足、そして、予算不足
    そしてマスコミ・市民・遺族・司法・警察による行きすぎた医療者
    への攻撃がますます救急医療現場を萎縮させ、人をさらせております。
    私は全国医師連盟の設立準備委員です。個人的に診療関連死に関する
    文献と意見をまとめております。
     是非とも下記の文書に目をとおしていただけないでしょうか。
    文書の所在は公開してかまいません。またそれらの文書はしょっちゅう
    更新されますので、もし有用な文書とご判断されましたら週に二回ていどは
    クリックしてみてください。
    ▼ファイルの所在
    印刷用:
     http://homepage1.nifty.com/jsawa/ginza/medical/shiinkyumei.pdf
    モニターでの閲覧用:
     http://homepage1.nifty.com/jsawa/ginza/medical/shiinkyumei-slides.pdf
    原稿(LaTeX形式のソース):
     http://homepage1.nifty.com/jsawa/ginza/medical/shiinkyumei.zip

    もう1つ、全国医師連盟の設立準備委員の閉鎖的な web page に載せた文章も
    御参考までに。
    /* 引用開始 */

    実定法の解釈が医師法21条について現実に変っていることの大問題とは別に、
    医師の応召義務について実定法も問題をはらんでいると考えられます。どんな場合
    は診療を回避してもいいのかの解釈があまりにもあいまいすぎるということです。
    実はこのことについてはMJLnetでのある方の日記について別の方が
       応召義務、見直し着手は「夢」でしょうか???
    とコメントしたことで、改めて考えさせられました。自分は昨年末からインターネット
    で公開する「書物」書いてるところで、その中でこの問題を取り上げることにしました。
    そのことに関するメモを紹介いたします。MJLnetのある方の日記にコメントした内容と
    重なりますことをご容赦下さい。(ただし、加筆・修正してます)

    ▲注: 以下の文章において「禁止」という用語は、
     法律で「医師個人」に対して禁止するという意味です。
     労働基準法は事業者に対しての法律ですが、労働基準法違反の状態での勤務は被雇
    用者個人に対しては法律で禁じられてません。違法な労働を事業者は「させてはなら
    ない」わけですが、違法な労働を事業者が命じても「従ってはならない」と法律で規
    定することはこれまでなかったと思います。しかしながら、医療崩壊の現実はそのよ
    うな実定法の制定を要求しているのではないでしょうか。違法な労働を「強制されて」
    実際にすること自体を違法とし、そのこと自体を行政的に罰することは少なくとも医師
    に対しては良い面があります、ただしそのことは救急医療はもちろん医療の供給量の低
    下をもたらします。簡単な話しではありません。

    では、私のメモを、長いのですがあえて記します。

     ・飲酒運転は法律で禁止されている
     ・医師の飲酒診療は禁止されてない
     ・飲酒運転による人身事故はそうでない場合より重罪
     ・医師の飲酒に起因すると考えられる事故はより重罪? 否。
     ・医師の場合は結果のみで損害賠償責任、刑事責任がかされ、医師の飲酒や過労とい
    う注意不足をきたしそうな事実は関係ない
     ・救急病院勤務の医師は帰宅後に酒を飲んでいても呼ばれたら、病院にいかねばなら
    ない。
     ・ある内科医が飲酒した状態で夜間に呼ばれて患者さんに処置をしたところ、医学的に
    みてその処置が原因でないのは明らかだったが患者さんがなくなった時、新聞は飲酒し
    ていた医者を攻撃した。
     ・自分が脳外の頃、部長、上の先生、私(一番下)で手術後に部長のおごりでオペ室の
    看護師さんらと呑みに行く事がよくあり、呑んでいる時にまたまたくも膜下出血の患者
    さんが来て、脳外チーム全員が酔った状態で検査をして、手術をするなど日常茶飯事で
    あった。
     ・飲酒状態でも地方では脳外がある病院は地域に1つしかないのが普通。
     ・もしも飲酒を理由に脳外医師が病院の当直医に「みんな酔っているので、別の病院
    に回して下さい」と回答し、その回答が有効ならば、2時間以上かけて別の地域の病院
    にくも膜下出血の患者さんを搬送することになり、救急車の中で動脈瘤が再破裂して死
    亡するかも知れないし、当直医が当然救急車に同乗するので病院の当直医がもしも一人
    の場合は自宅で寝ている医師の誰かに来てもらう必要を生じる。二人以上当直にしても
    その病院の救急体制は深刻な問題を生じる。
     ・一般市民は飲酒した医者が危険な検査や手術をすることに反対すると考えられる。
    そもそも知っている割合は1%未満では?
     ・では飲酒が応召義務の例外になるのか否か? このことは法律で明文化しないとい
    けないのでは。
     ・例一: 医師が飲酒あるいは極度の過労状態にあってもそのことは応召義務回避の正
    当な理由にはならない。そのような状態であっても診察する義務がある。ただし、その
    ような状態の場合は、原則として当該医師は危険を伴う診療をしてはならない。診察の
    結果、ただちに検査ないし治療が必要な場合は速やかに一次救急病院に連絡し、救急病
    院の医師に所見を述べて、可及的速やかに患者を救急車で搬送しなければならない。医
    師の飲酒ないし過労状態での診察の結果が緊急の診療が必要ではない、たとえば「翌朝
    に病院受診をすすめる」という結論であったとして、結果として患者が直ちに救急病院
    に搬送されなかったことにより患者が死亡等の重大な損害を受けた場合に、当該医師の
    民事・刑事責任は免じられない。(現時点での市民の意識からしたらこのような法律で
    ないと受け入れられないのではないでしょうか。ですから、市民に実態を中三の子供が
    理解できるレベルの文体で広く語りかけることが必要だと私は思う)

     ・飲酒を理由に診療を拒否してはならないと法律で明確とするのである。
     ・ただし飲酒状態において注意力が低下することはよく知られている事実である。
    医者に限ってはそのようなことはないという証拠は存在しない。
     ・飲酒しての診療による「悪い結果」については法律で免責にするべきなのかも知れ
    ない。
     ・ならば、当直明けの診療による「悪い結果」も免責にするべきである
     ・当直明けで24時間連続勤務の後で仕事をしているということを患者・家族に明示す
    べきであろう。「当院では医師が不足しているために、あなたの主治医が当直をして
    24時間勤務後に朝から危険な検査をしたり手術をします。もしもそのような過労状態
    での診療を拒否される方はお申し出下さい。また、当院では24時間勤務後に朝から
    仕事をしている医師は朝から名札の名前を赤で表示しております。もしも不安に感じら
    れたならば、赤い名前の医師の診療を拒否することができますので、申し訳ありません
    が別の病院を受診して下さい。なお、患者さんが赤札医師の診療を拒否する場合に、
    確実に診てくれる他の病院を紹介するための職員を確保することは当院では予算不足の
    ためにできません。本当にもうしわけございません」
     ・病院は「主治医が帰宅後飲酒した状態で、病院から呼ばれて診察、検査、手術する
    こともあります。医師の飲酒診療を当院が禁じると、医師に禁酒を命じるか、飲酒して
    いた場合は、主治医は来てはいけないと命じる他ありません。医師が不足しているので
    当院ではこれまで飲酒診療を容認してきました。医療ミスということ減らすのが市民の
    求めるところですから、これからは患者さんまたはご家族が主治医の飲酒診療を拒否す
    ると申し出られましたら、そのようにいたします。ただし主治医が飲酒していたとして、
    当該診療科医師が全員で二人の時にもう一人の医師も飲酒していた場合は、非専門の
    医師にすべてをまかせるか、救急搬送することになります。」と掲示すべし
     ・飲酒診療が免責ならば、月間の時間外労働が80時間を超える医師による「悪い結果」
    も免責とするのが当然。
     ・バスの運転手、電車の運転手、飛行機のパイロットという公共的な職業の人々に関
    しては、もちろん飲酒運転は禁止され、長時間労働も禁止されている
     ・医者の場合はどうも応召義務かあるために、飲酒診療も法律違反の長時間労働も禁
    じられてないのである。
     ・飲酒運転は事故をおこしやすいので法律で禁止し、飲酒診療は事故をおこしやすい
    けれども、応召義務があるので禁止しない、あるいは医者が足りないので禁止しないと
    いうことは、現実にはずっとそうなのである。
     ・医者の飲酒診療や、長時間労働を禁止すると、救急車を呼んでも行き先が見つかる
    まで何時間もかかることがこれまでの数倍になることは間違いない。これまでは胃癌の
    手術は必要な時期にできていたのが、何ヶ月待ちになることが予想される。
     ・では、やはり医師については飲酒診療も法律違反の長時間労働もこれまで通りに応
    召義務故に禁止しないことをつづけていいのか?
     ・飲酒診療および長時間労働の結果としてのミスに対してまったく情状酌量してこな
    かったのがこれまでの司法やマスコミ、さらには一般市民であった。
     ・私は医者の飲酒診療および長時間労働を法律で禁止してほしい、同時にそんな法律
    ができたら、医師不足の現状では救急医療が崩壊してしまうことを知っている。感情と
    思考がまったく一致しない。
     ・ではせめて医者は飲酒してはならないという法律をつくるのが良い。これは馬鹿げ
    ている。日本国籍の人々全員に飲酒を禁止するよりもさらに馬鹿げている。
     ・医者が悪意により死傷させた場合以外は別として、医者個人に関して民事・刑事は
    免責とするのが正しいのである。なぜなら医者が足りないのは、医者が医者でないとで
    きない仕事に専心できないのは、国家の政策だからである。本質的には市民が医療には
    お金をこれ以上はかけたくないと決意しているからである。市民が医者の現実を知らず、
    医者が市民に語りかける努力を怠ってきたからである。
     ・特別会計というすさまじい金の多くが必要のない「公共」事業に浪費されていると
    いう現実を市民はほとんど知らない。実のところ、医療費をたった10兆円増額する程
    度のことは簡単にできること。道路などをつくるための金が減り、失業する人々に対し
    て職業訓練を実施して介護・リハ等の仕事に移行してもらうことができるはず。

    ▼最後に
     ニュルンベルク国際軍事法廷において、被告の圧倒的多数は残虐行為への加担について
    こんなふうに主張しました。
     「国家による命令であったから拒否できなかった。自分は直接殺してない。自分は死
    者が減じるための努力をした。もし自分が命令を拒否したらば、他の誰かが代わりに
    やっていたことだろう。自分には家族があった。国家の命令を拒否すると自分は殺され
    ていたであろう。拒否したことでもしかしたら殺されはしなかったろうが、仕事を失い
    自分と家族は餓死するほかなかったろう。自分はユダヤ人を憎んでいたわけではない。
    公職にある者として国家の命令に従い、一人でも多くのユダヤ人を救うために可能な
    限りの努力はしたのである。したがって道義的にはユダヤ人、ロマ族、精神病者、キリ
    スト教の聖職者、同性愛者などの殺害に関する行政手続きに関与したことで自分には
    責任がないとは言えない。そのような人々が殺害されたことを遺憾に思う。責任はあ
    るが私個人の罪ではない。」

    ベトナム戦争における「上官の命名による残虐行為」を実行した兵士は有罪になったと
    どこかで読みました。もちろん上官は有罪

    ナチスの大量虐殺における「上からの非人道的な命令遂行」を実行した者の多くは有罪
    となりました。米軍においても「上から言われたから人道に反する行為をした」のだと
    いう主張は認められなかったと聞いてます。
     医師が過労状態あるいは飲酒して診療することは、ナチス国家における公職者のよう
    に「殺人への加担」ではなく、人の命を救う為の事実上の強制を「受け入れている」
    ということなので大いに異なるのですが、共通しているのは「断るのが困難」だという
    こと。性質としてナチスとの共犯者である公務員の場合は、免責は基本的になかったの
    ですが、医師の場合も基本的に免責されないこと。人を殺すための悪事に加担「せざる
    を得なかった」個人と、人の命を救う為に「違法行為」で仕事をせざるを得なかった
    医師が同様に扱われることが正当だとは思えません。

    ■一般市民に提示したい選択肢
    A案: 医師に対して飲酒診療と過労診療を法律で禁止し、そのような診療による有害
    事象については飲酒運転と同様に、そうでない場合よりも厳罰に処すると法律で規定する
     
    B案: 医師の飲酒診療あるいは過労診療に起因する可能性がある有害事象に関しては、
    民事・刑事免責とする

    C案: 現状をそのまま放置する

    「医師が死亡次期を予期し、家族にそのことを明言し、実際に患者さんが医師の予期通
    りに死亡し、なおかつ医師の「予言」通りの時期の死亡に家族がまったく疑念なし」
    以外の死亡に関しては、すべて医療事故を疑い網羅的に調査するという厚労省および
    自民党の法律案が熟しつつあるわけです。そのような暴挙が実行されそうなことに対
    して我々がすべきことには、いろいろな次元がありますが、普通の人々が理解できる
    語り方で「医者に対しては飲酒運転あるいは飲酒運転と同様の心身状態での仕事が禁
    じられてないどころか、強制されている」という現状を訴えることは必須だと思いま
    す。飲酒診療ないし飲酒と同等の心身状態での診療をせざるを得ないのは、単純に医
    師の数が足りない and/or 医師の仕事を補助する人員が存在しないということを市民
    に理解可能な言葉で語ること。

     以上。このようなことを中三の子供に理解できるような文体で書物を準備していると
    ころてです。インターネット上でフリーソフトとして公開し、出版社による営利目的
    の出版も認めるつもりです。

    /* 引用終了 */

    人と人と結び付くことが善、人と人とが離反することは悪 私はトルストイの
    この言葉を真実だとみないております。被害者の方々と医師らは必ずや協業できる
    と信じます。厚労省のごとき責任逃れ主義の奴等とは協業できるとまったく
    期待してませんが。

     何卒、宜しくお願い申し上げます。

澤田石 順 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。